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「高次脳機能障害者支援法」が成立 見えにくい障害を地域で支える仕組みへ

2025年12月16日、「高次脳機能障害者支援法」が参議院本会議で可決され、成立しました。この法律は第219回国会で審議され、参議院本会議では全会一致で可決されました。その後、同年12月24日に法律第96号として公布され、2026年4月1日に施行されています。現在は、高次脳機能障害のある人への支援を進めるための基本的な枠組みとなっています。※1

高次脳機能障害は、外見からは分かりにくいことが多く、周囲の理解につながりにくい障害の一つです。事故や病気の後に、以前はできていたことが難しくなったり、生活や仕事、人との関わりの中で困りごとが生じたりすることがあります。しかし、外見からは大きな変化が分かりにくい場合、周囲から「怠けている」「性格が変わった」「やる気がない」と誤解されてしまうことも少なくありません。

今回成立した法律は、こうした高次脳機能障害のある人が、地域で必要な支援につながり、自立と社会参加を進められるようにするための基本的な枠組みを定めたものです。この法律では、高次脳機能障害の特性について社会の理解がまだ十分とはいえず、当事者が適切な支援につながれないことで、日常生活や社会生活に困難を抱えている現状が示されています。

この記事では、高次脳機能障害者支援法の概要と、福祉・医療・教育・労働の現場にとって重要となるポイントを整理します。

目次

高次脳機能障害とは何か

高次脳機能障害とは、病気や事故などによって脳が傷つき、記憶や注意、感情のコントロール、言葉の理解などに困難が生じる状態を指します。法律では、より正確な表現で次のように定義されています。
「疾病の発症又は事故による受傷による脳の器質的病変に起因すると認められる記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害、失語、失行、失認その他の認知機能の障害として政令で定めるもの」※2

つまり、日常生活では分かりにくい記憶や注意、行動、言葉、認識などの困難も、支援の対象として位置づけられているといえます。

これまでの高次脳機能障害支援では、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害の4つが中心的に説明されることが多くありました。国立障害者リハビリテーションセンターの高次脳機能障害情報・支援センターでは、記憶障害について「物の置き場所を忘れる」「新しいできごとを覚えられない」、注意障害について「ミスが多い」「二つのことを同時に行うと混乱する」「作業を長く続けられない」といった例を示しています。

遂行機能障害では、計画を立てて物事を進めることが難しくなったり、人に指示してもらわないと行動に移せなかったり、約束の時間に間に合わなかったりすることがあります。社会的行動障害では、感情のコントロールが難しくなり、思い通りにならないと大声を出してしまう、興奮しやすくなる、対人関係でトラブルが起きやすくなるなどの形で現れることがあります。

一方で、今回の法律上の定義には、失語、失行、失認も明記されています。失語は、話す、聞く、読む、書くといった言語機能に困難が生じる状態です。失行は、手足に麻痺がないにもかかわらず、目的に合った動作をうまく行えない状態を指します。失認は、視覚や聴覚などの感覚機能に大きな問題がないにもかかわらず、見たものや聞いたものを意味あるものとして認識しにくくなる状態です。

このように、高次脳機能障害は単一の症状名ではなく、脳の損傷によって生じる認知機能の障害を幅広く含む概念です。症状の現れ方は人によって大きく異なります。同じ「高次脳機能障害」という診断名であっても、ある人は記憶の困難が中心であり、別の人は注意の切り替えや感情調整の困難が中心である場合があります。そのため、支援においては「高次脳機能障害だからこの対応」と一律に考えるのではなく、その人の生活場面で何に困っているのかを具体的に把握することが重要です。

「見えにくさ」と支援へのつながりにくさ

高次脳機能障害の大きな課題は、障害が周囲から見えにくいことです。身体障害のように外見上分かりやすい変化がある場合もありますが、認知機能や行動面の変化が中心になると、周囲の人が障害として受け止めにくくなります。

たとえば、約束を忘れてしまう人は、「だらしない」と見られてしまうことがあります。作業の段取りが立てられない人は、「仕事を覚える気がない」と受け取られてしまうことがあります。感情の起伏が大きくなった人についても、「性格が悪くなった」と誤解される場合があります。しかし、その背景に脳損傷による認知機能の障害がある場合、本人の努力だけで解決することは困難です。

この法律は、高次脳機能障害について社会の理解がまだ十分に広がっていない現状を踏まえたものです。そのため、当事者が必要な支援につながれず、日常生活や社会生活の中で困りごとを抱えやすい状況があります。
こうした状況を本人や家族だけの問題にせず、社会全体で理解を深め、必要な支援につながりやすくしていくことが、この法律の重要な考え方です。

福祉現場においても、この「見えにくさ」は大きな課題です。福祉や医療、教育、就労などの支援場面で、本人の困りごとが表面的な行動だけで理解されると、支援の方向性を誤るおそれがあります。必要なのは、本人の行動を責めることではなく、その行動がどのような認知機能の困難から生じているのかを見立て、環境調整や支援方法を考えることです。

法律の基本理念 本人の意思、自立、社会参加を尊重する

高次脳機能障害者支援法では、支援の基本理念として、本人の意思を尊重しつつ、自立と社会参加の機会が確保されることが掲げられています。つまり、本人の思いや希望を大切にしながら、地域の中で暮らし、学び、働き、社会と関わっていく機会を支えていくという考え方です。さらに、高次脳機能障害のある人が地域社会の中で尊厳をもって暮らし、他の人たちと共に生活していけるようにすることも重視されています。

ここで重要なのは、本人を「支援されるだけの存在」として見るのではなく、意思や希望を大切にしながら、地域社会の中でその人らしく暮らしていく一人として位置づけている点です。

また、法律では、「社会的障壁」を少なくしていくことも重視されています。社会的障壁とは、障害のある人が日常生活や社会生活を送るうえで、暮らしにくさや参加しにくさにつながる社会の仕組みや周囲の理解不足などを指します。高次脳機能障害者支援法では、本人の障害だけでなく、こうした社会側の壁によって日常生活や社会生活に制限を受けている人も、支援の対象として考えられています。

この考え方は、支援を本人の努力だけに任せないという点で重要です。たとえば、記憶が苦手な人に対して「忘れないようにしてください」と繰り返すだけでは、十分な支援とはいえません。予定を見える形にする、メモやアプリを活用しやすくする、周囲が確認できる仕組みを整えるなど、環境を調整することで生活のしづらさが軽減される場合があります。

注意が続きにくい人には、長時間の作業を求めるのではなく、作業を短い単位に分ける、刺激の少ない環境を整える、手順書を用意するなどの工夫が考えられます。社会的障壁を少なくしていくことは、本人が苦手に感じることをなくそうとするだけではなく、本人が力を発揮しやすい環境をつくることでもあります。

国と地方公共団体の責務が明確に

今回の法律では、国と地方公共団体が、高次脳機能障害のある人への支援を進める役割を担うことも定められています。国には、法律の基本理念に基づいて支援の方針や制度を整え、継続的に取り組んでいくことが求められます。

一方、地方公共団体には、国と連携しながら、それぞれの地域の実情に合わせて支援体制をつくっていく役割があります。地域によって、医療・福祉・就労支援などの体制や、利用できる地域資源には違いがあります。だからこそ、全国的な制度づくりと、地域に根ざした支援の両方が必要になります。

これまでも、高次脳機能障害のある人への支援は、障害福祉の制度の中で進められてきました。都道府県や指定都市では、専門的な相談窓口を設け、本人や家族の相談に応じたり、医療・福祉・就労などの関係機関と連携したりする取り組みが行われてきました。

一方で、今回の法律によって、高次脳機能障害のある人への支援について、基本的な考え方や国・自治体の役割が法律上整理されました。これまでの取り組みを土台にしながら、地域で必要な相談や生活支援をより一体的に進めていくための位置づけが明確になったといえます。

地域での生活支援 「退院後」や「診断後」の暮らしを支える

高次脳機能障害者支援法では、当事者が地域で安心して暮らせるよう、国と地方公共団体が必要な支援に努めることが定められています。たとえば、本人の年齢や障害の状態、生活の状況に合わせて、社会生活に慣れるための訓練、住まいの確保、地域活動への参加、生活の質を保つための支援などを進めていくことが想定されています。

高次脳機能障害の支援では、急性期医療やリハビリテーションだけでなく、その後の地域生活が大きな課題になります。退院した後、以前と同じように生活できると思っていたものの、家事や通院、仕事、人との関わりなど、日々の生活の中で困難が表面化することがあります。本人も家族も、「何が起きているのか分からない」と感じることがあります。

特に、病気の発症や事故の前に、仕事や家庭内で多くの役割を担っていた人ほど、生活の変化に戸惑いや喪失感を抱きやすくなります。周囲も「退院したのだから元に戻った」と考えてしまうと、本人の困難が見過ごされることがあります。

地域での生活支援では、退院後の暮らしにスムーズにつながれるよう、医療機関と地域の支援機関が連携することが重要です。相談支援や障害福祉サービス、就労支援などが連携することで、本人や家族を継続的に支えやすくなります。

教育的支援 子どもや若者への支援も対象に

法律では、教育に関する支援についても定められています。対象には、18歳未満の子どもだけでなく、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校の高等課程など、高校段階の学校に在籍する18歳以上の人も含まれます。高次脳機能障害のある子どもや若者が、年齢や能力、特性に応じて必要な教育を受けられるよう、国と地方公共団体が支援を進めることとされています。

高次脳機能障害は、大人だけの問題ではありません。交通事故や脳炎などをきっかけに、子どもや若者にも生じることがあります。子どもの場合、病気や事故の前後で、学習面や対人関係、感情のコントロールに変化が生じることがあります。しかし、発達の途中にあるため、困難が高次脳機能障害によるものなのか、発達特性や環境要因によるものなのかが分かりにくい場合もあります。

法律では、可能な限り高次脳機能障害のある児童生徒等が、そうでない児童生徒等と共に教育を受けられるよう配慮すること、個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成を推進すること、いじめ防止等の対策を進めることなどが示されています。

教育現場では、記憶や注意の難しさが「勉強不足」や「落ち着きのなさ」と見なされることがあります。本人の努力不足と捉えるのではなく、認知機能の特性として理解することが大切です。そのうえで、説明の仕方や課題量、休憩の取り方、人間関係への支援などを工夫していく必要があります。

就労支援 働く力を正当に評価するために

高次脳機能障害者支援法では、就労支援についても重要な内容が定められています。国と地方公共団体は、高次脳機能障害のある人が働く機会を得られるよう、必要な支援体制を整えることが求められています。
また、ハローワークや障害者就業・生活支援センターなど、仕事や生活を支える関係機関と連携しながら、本人の特性に合った就労機会の確保や、働き続けるための支援を進めることとされています。

また、雇用する側にも、高次脳機能障害のある人の力を適切に評価し、その人に合った働く機会を確保することが求められています。あわせて、本人の特性に応じた働き方や職場での配慮を行い、安心して働き続けられるようにすることも大切です。

高次脳機能障害のある人の就労では、できることと支援が必要なことを丁寧に分けて考えることが大切です。これまでに身につけた知識や経験を活かせる一方で、予定管理や複数の作業を同時に進めること、人との調整、疲労への対応などが難しくなる場合があります。そのため、能力を低く見積もるのではなく、どのような環境であれば力を発揮できるのかを丁寧に見極める必要があります。

たとえば、作業手順を見える形にする、業務を細かく区切る、口頭だけでなく文字でも伝えるなどの合理的配慮が考えられます。本人が疲れやすい場合には、休憩の取り方や確認の仕組みをあらかじめ整えておくことも大切です。
また、就労支援機関や福祉サービス、職場の上司・同僚などが連携し、本人に合った働き方を一緒に探っていくことが重要です。

福祉事業所にとっても、今回の法律は、高次脳機能障害のある人の就労支援を見直すきっかけになります。支援では、ほかの障害分野での経験を活かしつつ、高次脳機能障害ならではの特性にも目を向けることが大切です。事故や病気の前にどのような暮らしをしていたのか、どのような仕事や役割を担っていたのか、本人や家族がどのような戸惑いを抱えているのかを踏まえながら支援することが求められます。

本人だけでなく、家族への支援も

高次脳機能障害者支援法では、本人だけでなく、家族や身近な支援者への支援も定められています。国と地方公共団体には、家族が本人の特性を理解し、必要な対応ができるよう、相談支援や情報提供、家族同士がつながる機会づくりなどを進めることが求められています。

本人の状態や生活の変化は、家族にも大きな影響を及ぼします。事故や病気の前とは本人の様子が変わり、家族が戸惑うことがあります。物忘れや感情の起伏、意欲の低下、対人トラブルなどが家庭内で起きると、家族が孤立し、疲弊してしまうこともあります。

家族が「どう接すればよいのか分からない」と感じることは自然なことです。本人を責めないことは大切ですが、家族だけで抱え込むことも望ましくありません。
そのため、専門機関に相談したり、福祉サービスや家族会につながったりできる環境が必要です。

また、一時的に介護や見守りから離れて休息を取る「レスパイト」という考え方もあります。そうした休息は決して後ろめたいものではなく、本人と家族の生活を長く支えていくために大切な支援の一つです。

本人を支えるうえでは、家族への支援も欠かせません。家族が高次脳機能障害の特性を理解し、支援者とつながることで、本人の生活も安定しやすくなります。一方で、家族の負担が大きくなりすぎる場合には、本人の意思を尊重しながら、外部サービスや地域資源を活用することも大切です。

相談体制と情報共有の整備

法律では、相談体制を整えることも重要な内容として定められています。高次脳機能障害のある人や家族からの相談に対して、本人の特性に配慮しながら対応できるよう、医療・福祉・教育・就労などの関係機関が連携することが求められています。

高次脳機能障害に関する相談は、一つの分野だけでは解決しにくいことがあります。医療や福祉サービス、仕事、学校、家族関係、お金の管理など、さまざまな課題が重なり合うことがあるためです。相談先ごとに対応が分かれていると、本人や家族が何度も同じ説明をしなければならず、支援につながる前に疲れてしまうことがあります。

法律では、関係機関の間で必要な情報を共有することも定められています。もちろん、情報共有は本人の同意や個人情報保護への配慮が前提です。そのうえで、本人の生活を支えるために必要な情報を、必要な範囲で共有できる仕組みが求められます。

これは、支援現場にとっても重要な視点です。高次脳機能障害のある人の支援では、本人の困りごとや支援方法が関係機関に共有されないと、場面ごとに対応がばらばらになってしまうことがあります。たとえば、医療機関で確認されていた配慮のポイントが、就労支援機関や学校、福祉事業所に伝わっていない場合、本人に合わない支援につながるおそれがあります。

高次脳機能障害者支援センターの役割

高次脳機能障害者支援法では、都道府県が高次脳機能障害者支援センターを指定したり、自ら支援業務を行ったりできることが定められています。支援センターには、本人や家族への専門的な相談対応、情報提供、関係機関との調整、支援者向けの研修などの役割が期待されています。

これまでも、国立障害者リハビリテーションセンター内の高次脳機能障害情報・支援センターが、全国の支援者向けの会議や研修、情報発信などを行ってきました。厚生労働省のページでも、同センターが高次脳機能障害のある人への適切な支援を広げる役割を担っていることが紹介されています。

今後は、法律に基づく支援センターが、地域の中でどのような役割を担っていくかが重要になります。支援センターは、本人や家族の相談窓口であると同時に、地域の支援者を支える専門機関でもあります。医療・福祉・教育・就労などの関係機関が困ったときに相談できる拠点として機能することで、本人や家族が必要な支援につながりやすくなることが期待されます。

ただし、支援センターが設置されるだけで十分とはいえません。本人や家族が支援センターの存在を知り、相談しやすい窓口として利用できることが大切です。また、支援センターと地域の事業所が日頃からつながっていることで、実際の支援にもつながりやすくなります。

福祉事業所に求められる視点

今回の法律をきっかけに、障害福祉サービス事業所や相談支援事業所にとっても、高次脳機能障害への理解を深めることがこれまで以上に大切になります。高次脳機能障害のある人は、就労支援や生活支援、住まいに関する支援など、さまざまな福祉サービスを利用する可能性があります。

支援現場で大切なのは、本人の困りごとを表面的な行動だけで判断しないことです。遅刻や忘れ物、作業ミス、人間関係のトラブル、疲れやすさなどの背景には、記憶や注意、段取りを立てる力、感情のコントロールの難しさなどが関係している場合があります。

そのため、支援者にはいくつかの視点が求められます。まず、事故や病気の前にどのような暮らしをしていたのか、どのような仕事や役割を担っていたのかを丁寧に知ることが大切です。そのうえで、「忘れっぽい」と一言でまとめるのではなく、「朝の準備で何を忘れやすいのか」「作業中のどの場面でミスが起きやすいのか」「人とのやり取りで何が負担になっているのか」を具体的に見ていく必要があります。

また、本人ができていることにも注目することが大切です。高次脳機能障害の支援では、できないことに目が向きやすくなります。しかし、得意なことや集中しやすい場面、安心して取り組める環境を見つけることで、本人の力を引き出す支援につながります。

さらに、支援方法をチームで共有することも欠かせません。ある職員はメモを使って説明し、別の職員は口頭だけで説明するという状態では、本人が混乱しやすくなります。支援の手順や声かけ、確認方法を事業所内で共有しておくことが重要です。

「制度ができた後」に問われる実効性

高次脳機能障害者支援法の成立は、当事者や家族、支援者にとって大きな前進です。これまで見えにくかった困難に対して、社会として支援の必要性を認め、国や地方公共団体の役割をはっきりさせたことにも大きな意味があります。

一方で、法律ができただけで、すぐに地域の支援体制が十分に整うわけではありません。重要なのは、今後、法律の内容をどのように実際の支援につなげていくかです。支援センターの体制づくり、支援者の育成、相談窓口の周知、医療・福祉・教育・就労の連携、家族支援など、取り組むべき課題は多くあります。

また、地域差への対応も重要です。都市部と地方では、医療機関や専門職、福祉サービス、就労支援機関の数や利用しやすさに違いがあります。法律では、住んでいる地域にかかわらず、必要な支援を受けられるようにすることが大切な考え方とされています。この考え方を実現するためには、各地域の実情に応じた支援体制を整えていくことが必要です。

高次脳機能障害は、誰にとっても無関係ではありません。交通事故や脳卒中など、さまざまな原因で起こり得ます。ある日突然、本人や家族が当事者になる可能性があります。だからこそ、社会全体で理解を深め、支援につながりやすい仕組みを整えることが大切です。

まとめ 「分かりにくい困りごと」を社会で支えるために

高次脳機能障害者支援法は、見えにくく、理解されにくかった高次脳機能障害のある人への支援を、社会全体で進めるための法律です。法律では、高次脳機能障害を幅広い認知機能の障害として位置づけ、本人の意思を尊重しながら、自立や社会参加を支えることを大切にしています。

福祉現場にとって、この法律は単なる制度改正ではありません。日々の支援の中で、本人の困りごとをどう理解するのか、家族をどう支えるのか、医療・教育・労働とどう連携するのかを問い直す機会でもあります。

高次脳機能障害のある人の困難は、本人の努力不足や性格の問題として見られてしまうことがあります。しかし、その背景には、脳の損傷による認知機能の変化があります。必要なのは、本人を責めることではなく、困難の理由を理解し、その人が力を発揮しやすい環境を整えることです。

法律の成立をきっかけに、高次脳機能障害への理解が広がり、当事者や家族が必要な支援に早くつながれる地域づくりが進むことが期待されます。支援の入口を広げ、医療、福祉、教育、労働が切れ目なくつながることで、「見えにくい障害」を抱える人たちの暮らしや働く機会を、社会全体で支えていくことが求められています。




※本記事は2026年6月時点で公開されている情報に基づいています。今後の制度改正や運用の変更により、内容が変わる可能性があります。最新情報は、厚生労働省や自治体などの公的資料をご確認ください

参考文献・出典
※1 参議院「高次脳機能障害者支援法案」議案審議情報
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/219/meisai/m219090219010.htm

※2 参議院「高次脳機能障害者支援法」成立法律PDF、第2条「定義」
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/219/pdf/s0902190102190.pdf

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この記事を書いた人

株式会社パパゲーノ代表取締役CEO / 「生きててよかった」と誰もが実感できる社会を目指して、東京で「パパゲーノ Work & Recovery(就労継続支援B型)」の運営や、支援現場のDXアプリ「AI支援さん」を開発。精神障害のある方との事業開発がライフテーマ。

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