休職中のビジネスパーソンの「職場復帰(リワーク)」に特化した就労移行支援事業所「ベスリ・リワーク大阪」。産業医が立ち上げたという背景を持ち、あえてパソコン等の基礎訓練を行わず「自己理解」と「再発防止」にフルコミットする独自のプログラムを提供しています。
今回は、株式会社ベスリの富岡里江さん、ベスリ・リワーク大阪でサービス管理責任者を務める池田さんに、施設立ち上げの背景やリワークならではの支援のやりがい・難しさについて、お話を伺いました。
「ベスリ・リワーク大阪」の基本情報
| 事業所名 | ベスリ・リワーク大阪 |
|---|---|
| 所在地 | 〒541-0059 大阪府大阪市中央区博労町3-4-15 ACN心斎橋博労町ビル5階 500 |
| 利用時間 | 9:30~15:30 |
| 利用対象 | うつ病や適応障害をお持ちで離職中・休職中の方となり、復職・再就職を目指す方 |
| 主な活動内容 | 講義、グループワーク、再発防止策の作成 |
| 代表電話 | 06-6732-8172 |
| ホームページ | https://biz-rework.jp/osaka/ |
産業医が立ち上げた、ビジネスパーソンのための「リワーク」
やすまさまずは「ベスリ・リワーク大阪」の概要について教えてください。
就労移行支援事業所でありながら「リワーク」とついているのが特徴的ですね。



はい。当施設は2024年2月にオープンした就労移行支援事業所ですが、ご利用者様の約95%が「現在お休み中(休職中)のビジネスパーソン」です。離職して再就職を目指す方は1割弱となっております。
一般的なリワーク期間が6ヶ月程度と言われる中、当施設は平均ご利用期間が3.5ヶ月と比較的短期間での早期復職を目指しているのが特徴です。
ただ戻るだけでなく、「再発しないための自己の振り返り」に最も注力してご支援を行っています。



産業医の先生が自らリワーク施設を立ち上げられたと伺いました。どのような背景があったのでしょうか?



弊社の代表である吉田は、医師になってから一度ビジネスの最前線(外資系コンサルティング会社)で3年半ほど働いた経験があります。
そこで働く人のメンタルヘルスの難しさやストレスを肌で感じ、再び医療の現場に戻り、株式会社ベスリを立ち上げました。
病院の診療だけでは、復職してもまた再休職してしまう現状に対して根本的なアプローチがしきれないという課題がありました。
そこで「トレーニングをする場所」として、2023年に福祉サービスとしてのリワーク事業をスタートし、東京に続いて大阪にも拠点を構えるに至りました。


あえて「PC訓練」はしないプログラム



休職中の方の復職支援に特化しているとのことですが、具体的にどのようなプログラムを行っているのでしょうか?



講義としては、認知行動療法やストレス耐性を高めるもの、そして休職期間を機にこれからのキャリア形成を考え直すプログラムなどがあります。
実は当施設では、一般的な就労移行支援で行われているような「パソコン訓練」や「資格取得の勉強」「基本的な報連相の練習」といったことは一切行いません。ご利用者様はすでに一般企業で働かれているビジネスパーソンだからです。その代わり、「休職に至った原因をしっかり振り返り、今後の再発防止策を作る」ということに時間をかけます。



環境のせいにするのではなく、ご自身と向き合う時間にするのですね。



はい。「会社の環境が変わらない」と不満を感じていても現実は変わりません。環境の要因ももちろんありますが、その中で「自分自身が変えられるところはないか」「組織が何を求めていて、自分はどう立ち回るべきか」を深く理解することが大切です。
休職の原因の多くは「コミュニケーションエラー」に行き着くため、当施設のプログラムはグループディスカッションを非常に多く取り入れています。実践的なグループワークを通して、自分のコミュニケーションの癖を知り、対策を練っていただきます。



産業医が立ち上げた施設ということもあり、支援の基準を「企業側が求めるレベルでの復職」に置いています。公認心理師はもちろん、コンサルタント経験者や企業の人事労務担当者など、ビジネス感度の高いスタッフがチームに入って支援しているのも大きな特徴です。その結果、復職後6ヶ月の定着率は97%という高い数字に繋がっています。


リワーク支援ならではの「やりがい」と「難しさ」



池田さんは以前、知的・発達障害の方メインの就労移行支援で働かれていたそうですが、なぜリワークの世界へ飛び込んだのでしょうか?



前職で支援をする中で、手帳を持たない精神疾患の方や、一般企業で休職して悩んでいる方からの相談が非常に多かったんです。需要がすごくあるのに、そういった方々が通える「一般就労に戻ることに特化した事業所」が当時は少なく、もどかしさを感じてチャレンジしました。



同じ就労移行支援でも、一般向けの就労支援とリワークでは役割が大きく違いそうですね。



全く違いますね。一般的な障害者雇用を目指す就労支援では、「ご本人に寄り添う支援」から始まり、いざ就職となると「企業側の意向に本人を適応させていく」という、ある種のギャップや矛盾を感じる場面もありました。 しかしリワークの場合は、ご本人も「元の企業に戻ってもう一度活躍したい」という明確な目標があり、私たちも企業側を向いて一気通貫で支援ができます。ブレがなく、ご本人が再び活躍される姿を見られるのは、支援者として大きなやりがいです。



逆に、リワーク特有の難しさはありますか?



一番の難しさは「期限があること」です。会社の休職期間の制限や、ご本人の経済的な事情から、「なるべく早く戻らなければならない」という切迫感があります。 私たち支援者から見て「もう少し時間をかけて振り返ってほしい」と思う段階でも、タイムスケジュールに合わせて復職の準備を進めなければならない難しさは常に感じています。だからこそ、限られた時間の中で削れるものは削り、本質的な自己理解に注力している形です。


休職で悩む方へ「まずは話を聞かせてください」



最後に、現在休職で悩んでいる方や読者の方へメッセージをお願いします。



このようなお話をすると「ビジネスライクで厳しいところなのかな?」とハードルを高く感じてしまうかもしれませんが、大阪の事業所は池田を中心にとても明るい雰囲気です。 実際に入ってみると、「同じ目標に向かって頑張る仲間がいること」が皆さんにとって大きな支えになっています。まずは見学にお越しいただき、雰囲気を感じてみてほしいです。



今、復職に向けて「どうしたらいいか分からない」「何をすべきか分からない」と悩んでいる方は、一人で抱え込まずにまずは来てみてください。 福祉サービスを利用することに敷居の高さを感じるかもしれませんが、誰かに助けを求めたり、話を聞いてもらったりするだけで、今抱えている心の重荷はきっと軽くなるはずです。ご自身の心と向き合う第一歩として、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。



休職を、ただ職場に戻るための期間ではなく、再び活躍し続けるために自分自身と向き合う時間として捉えることの大切さが伝わってきました。本日は、貴重なお話をありがとうございました!











