「就労支援事業所を無くす」
一見矛盾するビジョンを掲げ、就労継続支援B型を運営する経営者がいます。大阪府東大阪市で古着販売を主軸とした就労継続支援B型「ケイズ」を運営する堀田耕平さんです。開設わずか1年で平均工賃4万9,000円を達成。障害福祉業界に変化を起こそうとする堀田さんの想いを伺いました。
株式会社ADNEXT(中古リユース・WEBマーケティング)/合同会社ケイズ(就労支援B型)/株式会社LIVEAS(不動産売買) 代表取締役
「就労支援事業所を無くす」を目標に掲げ、現場最適主義で事業所運営に取り組む。もともと個人で古着販売事業を行っており、外注先のB型事業所で感じた課題をきっかけに2024年11月に自ら就労継続支援B型事業所を設立。TikTokやYouTubeでの情報発信も積極的に行い、業界の健全化にも尽力している。
ケイズ(就労継続支援B型)の事業所情報
| 事業所名 | ケイズ |
|---|---|
| 運営法人 | 合同会社ケイズ |
| 所在地 | 大阪府東大阪市金岡4-10-16 |
| 電話番号 | 06-6747-9343 |
| 事業所番号 | 2715008609 |
| 事業内容 | 就労継続支援B型事業所 |
| 主な対象 | 障がいのある方(※身体、知的、精神、指定難病など) 病気など様々な理由で就労が難しい方 |
| 主な作業内容 | パソコンのデータ入力、パソコン事務作業、宛名シール貼り、郵送物の封入、写真撮影、商品の梱包、書類等の製本、施設での清掃・整頓 |
| 公式サイト | https://keizub.com/ |

古着販売で平均工賃4.9万円を実現する仕組み
やすまさはじめに、ケイズさんの事業内容について教えてください。



大阪の東大阪市で就労継続支援B型事業所を1店舗運営しています。
特徴としては、古着販売をメインの生産活動としていて、平均工賃が月額4万9,000円なことです。
納期のない自社作業をメインとしているので、利用者さんにとっても働きやすい環境になっています。



4万9,000円はかなり高い水準ですね。
どのような仕組みで実現しているのでしょうか?



よくある内職だと1個1円の作業を1万個こなすようなイメージですが、うちは1つの商品で5,000円〜1万円の利益が出るような高単価商品を扱っています。少ない作業時間で効率よく売上を立てる事業モデルを目指しています。最大で月9万円の工賃をお支払いすることも可能です。


個人で古着販売の事業で就労Bに外注していたのがきっかけ



もともと古着販売は事業としてやられていたんですか?



はい。僕自身が個人で古着販売の事業をしていました。最初は近くの就労継続支援B型に外注作業として依頼していたんですが、荷物を持っていくとどうしても納期が発生してしまいます。実際に持っていった時に利用者さんから「これやりたくないです」という声を聞いて。
だったら自分で事業所を作って、利用者さんにのびのびとやってもらえたらいいなと思ったのが立ち上げのきっかけです。



就労継続支援B型に仕事を発注していた実績があって、外注の難しさも理解した上で自社で立ち上げるというのは理想的な流れですね。



それと、実は最初は就労継続支援A型事業所を作ろうと思って指定申請をしていたんです。でも、行政から「物販でそんなに売上を立てられないでしょう」と言われて。
じゃあまず就労継続支援B型でしっかり結果を出します、という流れで今に至っています。


利用者さんの仕事内容とやりがい



実際に利用者さんはどんな仕事をされているんですか?



写真撮影、採寸、データ入力、そして出品の下書き作成までやってもらっています。Googleのスプレッドシートとスクリプトで仕組みを作っていて、採寸データを入力するとテンプレートに自動で移動する。下書きに溜まったものを社員が確認して問題なければ出品という流れです。



うまく分業されていますね。やりがいも感じやすそうです。



自分が写真を撮った商品、採寸した商品が「SOLD」になっていると、一番「やった!」となりますね。利用者さんも実感できるので。
TikTokを活用した利用者募集戦略



工賃も高く、仕事内容も魅力的に見えますが、利用希望のお問い合わせは多く来ているのでしょうか?



はい。おかげさまで、開所から1年で既に1日約20名の方が通所される状態になっています。



とても早いですね!
利用者さんはどのように集客されているんですか?



TikTokからの応募がメインです。
地元の相談支援事業所さんからの紹介は1〜2人程度で、多くの方がTikTokを見て、公式LINEに自分で連絡してきてくださっています。



TikTokからそんなに集客できているのですね!すごいです。
どんな内容の動画を出されているんですか?



事業所選びに必要な情報や、利用者さんから聞く他事業所の問題事例などを発信しています。
例えばキャッシュカードを取り上げられて辞めさせてもらえないとか、暴言や体罰があるとか。そういった情報を発信することで、制度に対する理解があり、ケイズのことも知っていただいている方から問い合わせいただけるのはメリットだなと感じています。



最近、SNSで就労継続支援B型は何かと注目されてたりもしますよね。
絆ホールディングスさんの件とか・・・。



絆さんの件で福祉支援自体のイメージが悪くなってしまった部分もありますが、そこをうまく活用してSNSで正しい情報を広げていくことが大切だと思っています。




「就労支援事業所を無くす」というビジョンの真意



YouTubeやXで「就労支援事業所を無くす」というコンセプトを掲げているかと思います。どういう意味合いなのか、詳しく聞かせてください。



就労継続支援という福祉のモデルは、本業の生産活動を頑張って、障害のある方と一緒に売上を立てて、その分をちゃんと工賃として還元してほしいというのが国からのお願いだと僕は理解しています。
利用者さんが一般就労して社会で生きていける人が増えていけば、究極的には福祉としての就労支援はいらなくなる。それが「無くす」というコンセプトです。



なるほど。



ただ、絶対になくなった方がいいとは思っていません。必要な場所ですし、居場所として社会とつながれている安心感を持っている利用者さんもいます。
でも「儲かるから」というフランチャイズの広告が多すぎますよね。本業を頑張るためのサポートという本質を間違えている事業所が多いので、一つの提言としてこのビジョンを掲げています。


古着販売フランチャイズで全国のB型事業所を支援



他のB型・A型事業所向けにフランチャイズ展開も始められているそうですね。



はい。仕事がない、高い工賃を稼げる生産活動がないから不正に走らざるを得ない事業所もあると聞きます。そこで、僕らが自社でやっている古着販売の仕組みを提供することにしました。
僕がバイヤーとして商品を卸して、自社で販売を頑張ってもらう。4ヶ月経っても売れなかったら、僕らがその商品を現金化して買い取ります。在庫リスクなく販売を強化してもらえれば、その分売上が上がって工賃に還元できる。



在庫リスクがネックで中古品販売に踏み出せない事業所は多いと思うので、ありがたいサービスですね。



サービス管理責任者の方からの相談も多いんです。経営者は今のままでいいと思っているけど、現場で個別支援計画を書いている自分は、今の生産活動では売上が上がらないから変えたいと。
生産活動の面で助けになればいいかなと思って作った仕組みです。



生産活動でしっかり売上が立てられる事業所が増えることを願ってます。
本日はありがとうございました!








