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ChatGPTで作成した画像は、商用利用しても問題ないの?【AI画像生成と著作権】

「利用者さんへの説明で画像を使いたいけれど、イメージ通りの資料を作るのが難しい…」
「チラシのイラストを描く時間がない…」
そんな悩みを持つ福祉職の方に向けて、この記事では画像生成AIの活用方法と注意点を分かりやすく解説します。

※本記事は2025年11月時点の公表情報に基づく一般的な解説であり、個別の案件に対する法的アドバイスではありません。最終判断は必ず公式の利用規約・法律専門家にご確認ください。

目次

ChatGPTで作成した画像は商用利用できるの?【先に結論】

結論

OpenAI(ChatGPT/DALL·E本体)の規約に従い、かつ他者の権利を侵害しない範囲であれば、生成画像を商用利用することが可能です。

生成された画像のOpenAIとの契約上の『Outputの所有権と利用権』はユーザーにあると規約で定められています。

ここでいう『Outputの所有権と利用権』は、OpenAIが自社の持つ権利(もしあれば)をユーザーに譲渡するという契約上の整理であり、その画像が日本の著作権法上で必ず「著作物」として保護されることまでを保証するものではありません。

ただし、OpenAIのコンテンツポリシー、各国の法律(著作権法・商標法・不正競争防止法など)に反する使い方はNGです。

OpenAI公式ヘルプ「Can I sell images I create with DALL·E?」では、
利用規約とコンテンツポリシーに従う限り、生成した画像の利用権はユーザーにあり、再印刷・販売・商品化が可能」と説明されています。
(この文言は、無料・有料クレジットを問わず適用されます。)

つまり、ChatGPTで画像を作り、

  • 事業サイトのトップ画像に使う
  • チラシ・パンフレットに印刷する
  • グッズにして販売する

といった「ビジネス利用」自体は、OpenAI側の規約上は原則OKと整理できます。

一方で、どんな画像でも・どんなシチュエーションでも安全とは限らないのがややこしいところです。
次の章から、根拠となる規約や法律を具体的に見ていきます。

OpenAIの規約から読む「画像の権利」と商用利用のルール

「Input」「Output」と所有権の考え方

OpenAIの最新の「Terms of Use(利用規約)」では、ユーザーが入力した文章などをInput(入力)、モデルが返す文章・画像などをOutput(出力)と定義し、両者を合わせてContentと呼んでいます。

そのうえで、所有権については次のような趣旨が明記されています。

  • ユーザーは、自分が入力した内容(Input)の権利を保持する
  • OpenAIは、Outputに関する権利をユーザーに譲渡する(ユーザーが所有者になる)

この条項は文章だけでなく、ChatGPT経由で生成される画像のOutputにも適用されます。
したがって、ChatGPTで生成した画像についても、

「ユーザーが所有権を持ち、商用利用が原則可能」

という解釈になります。

ただし、この「所有権」はOpenAIとの契約関係上の話であり、日本の著作権法上でその画像に著作物性(人間の創作性)が認められるかどうかは、別途個別に判断されます。

DALL·Eヘルプ:商用利用に関する明示的な説明

OpenAIのヘルプ記事「Can I sell images I create with DALL·E?」では、DALL·E画像の利用について次のように説明されていると、複数の専門サイトが引用しています。

  • コンテンツポリシーと利用規約に従う限り、DALL·Eで作成した画像の所有権はユーザーにある
  • 再印刷・販売・商品化する権利も含まれる
  • それは無料クレジットでも有料クレジットでも同じ

ChatGPTの画像生成(現在はGPT-4o/4o miniのImage Generationなど)も、このDALL·E技術を基盤としており、同様の方針が適用されると推測されます。

ただし絶対ではない:「Usage Policies」で制限されるケース

OpenAIは別途「Usage Policies(利用ポリシー)」を定めており、以下のような利用は禁止・制限されています。

  • 違法行為を助長するコンテンツ
  • 過度に暴力的・性的・ヘイト表現などの有害コンテンツ
  • 差別やハラスメントを助長する利用
  • 他者の権利(著作権・商標・プライバシーなど)を侵害する利用

このため、所有権がユーザーにある=どんな用途でも許されるという意味ではありません。
特に、差別的な表現や、特定の個人・集団(例:障害のある人)を傷つけるような画像表現は、倫理的にもポリシー上もNGと考えるのが安全です。

日本の著作権法とAI画像:文化庁の「AIと著作権に関する考え方」

文化庁の整理:「AIと著作権に関する考え方について」

日本の文化庁は2024年3月、「AIと著作権に関する考え方について」という文書を公表し、生成AIと著作権の関係について現時点での考え方を整理しています。

ポイントは、この文書は法的拘束力のあるものではないガイドライン的な位置づけで、生成AI技術の発展や、今後の判例・海外動向を踏まえて随時見直しを予定している点です。

つまり、日本の著作権法とAI生成物の関係は、まだ動いている途中のテーマだと言えます。

AI生成物は「著作物」として保護されるのか?

文化庁の資料やセミナーでは、AI生成物の著作物性について、概ね次のような考え方が説明されています。

日本の著作権法は、基本的に人間の創作した表現を保護の対象とします。
完全に自動生成されたAI画像は、そのままでは「人間の創作性」が認められない場合があります。
一方で、
プロンプトの工夫、画像の選別・トリミング・レタッチ・レイアウトなどにユーザーの創作性が認められる場合、
全体として著作物性が認められる余地があります。

海外でも同様の議論が進んでおり、米国著作権局のレポートでは、単にプロンプトを入力しただけでは著作権保護の対象にならず、人間が表現を具体的にコントロールした場合にのみ保護され得ると結論づけています。

商用利用と著作権は別問題

ここで大事なのは、

  • 商用利用ができるかどうか(利用規約の話)
  • その画像に著作権が認められるかどうか(法律の話)

は、別の問題だという点です。

商用利用:OpenAI規約上はOKでも、日本法上その画像自体に著作権が認められない可能性はあります。
その場合、他人に無断でコピーされても、著作権侵害として差し止めを求められないリスクがあります。

このように、「OpenAIとの契約上の権利」と「日本の著作権法に基づく保護」はレイヤーが異なる点を押さえておくことが重要です。

したがって、ビジネス的に重要なビジュアル(ロゴ、長期的に使うキャラクターなど)については、
AI画像を「下書き」として使い、人間のイラストレーターやデザイナーが最終的な形を仕上げるといった運用も、リスク管理の一つになります。

商用利用で本当に注意すべき5つのリスク

有名キャラクター・作品との「似すぎ問題」

OpenAIの画像生成は、ポケモンなど有名キャラクター名をそのまま入力すると、多くの場合ブロックされます。
しかし、

  • 「某有名ネズミ風のキャラ」
  • 「人気アニメ風の女の子」

のような曖昧な指示でも、既存作品に酷似した画像が出てしまう可能性があります。

文化庁の「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」では、著作権侵害の判断要素として、

  • 既存作品との類似性
  • 既存作品に依拠しているかどうか(依拠性

が重要とされており、AI利用者にもこの点への配慮が求められています。

肖像権・パブリシティ権

  • 実在の有名人そっくりの画像
  • 特定の個人(友人、家族、支援している障害のある方など)を思わせるリアルな画像

を無断で広告や商品に使うと、肖像権・パブリシティ権の侵害としてトラブルになる可能性があります。

OpenAIのポリシーも、本人の同意なしに他人を貶めたり誤解させたりする利用を禁止しており、特に配慮が必要です。

ロゴ・商標・ブランドイメージ

企業ロゴやブランド名は、著作権だけでなく商標権不正競争防止法の保護対象になります。

  • 他社ロゴがはっきりと識別できる画像
  • 特定ブランドを誤認させるようなデザイン

は、AI生成かどうかに関係なく、商用利用は避けるべきです。

差別表現・ステレオタイプ

特に福祉・医療・教育の分野では、

  • 障害のある人をステレオタイプに描く
  • ある属性の人を一方的に弱者・かわいそうな存在として表現する

といったビジュアルは、人権侵害や差別的表現として批判の対象になり得ます。

AIは、学習データ中の偏見をそのまま反映してしまうことがあるため、

  • 生成された画像を必ず人間の目でチェックする
  • 必要であれば、障害のある方や当事者団体の意見を取り入れて修正する

といったプロセスが重要です。

サービスごとの利用規約の違い

注意したいのが、同じDALL·E技術でも、提供するプラットフォームによって規約が違う点です。

OpenAI(ChatGPTやOpenAIの公式UI)
上記の通り、条件付きで商用利用OK

Bing Image Creatorなど、他社が提供する画像生成サービス
利用規約で「個人かつ非営利目的に限定」といった制限を設けている例が報告されています。
各社とも利用規約を頻繁に更新しており、現在は条件付きで商用利用を認めているサービスもあるため、必ず利用中のサービスごとの最新規約を確認する必要があります。
なお、2025年11月時点のBing Image Creatorの最新規約には「非営利目的に限る」といった文言はなく、商用利用それ自体を明示的に禁止してはいません。ただし、第三者の権利侵害リスクは利用者の自己責任とされており、個別案件ごとの確認は必須です。

「ChatGPTで作った」と思っていても、実は別サービス経由だったというケースもあり得ます。
どのサービスで生成した画像か、必ず確認しておきましょう。

具体例で整理:この使い方はOK?NG?

※以下はOpenAIの規約と一般的な法的考え方を踏まえた目安であり、最終的な合法性を保証するものではありません。

おおむねOKと考えられる例(OpenAI ChatGPTで生成した場合)

  • 自社サイトのヘッダー画像、ブログのアイキャッチ画像
  • 福祉施設やNPOのパンフレット・チラシに掲載するイラスト
  • 障害のある人向けの情報保障のための図解やピクトグラム(ステレオタイプに注意した上で)
  • 社内資料・プレゼン資料の挿絵
  • 自社オリジナルキャラクターの「ラフ案」をAIに作らせ、その後人間がブラッシュアップする

注意・NGになり得る例

  • 明らかに某有名キャラクターやアニメ作品とわかるデザインで、グッズ販売をする
  • 実在の芸能人そっくりの写真風画像を作り、広告バナーに使う
  • 他社ロゴを連想させるマークをAIで生成し、そのまま自社ロゴとして採用する
  • 暴力的・差別的な表現を含む画像をキャンペーンに使用する(Usage Policies違反)

安全にAI画像を活用するためのチェックリスト

商用利用前に、少なくとも次の点をチェックしておくと安心です。

チェック1:どのサービスで生成した画像ですか?

  • ChatGPT(OpenAI公式)ですか?
  • 他社のUI(Bing、Canvaなど)経由ですか?
  • それぞれの利用規約の商用利用に関する条項を確認しましたか?

チェック2:OpenAIの規約・ポリシーに違反していませんか?

  • 暴力・成人向け・ヘイト・違法行為などに該当していませんか?
  • 他人の著作物を明示的に模倣するようなプロンプトを使っていませんか?

チェック3:日本の著作権法的にグレーではありませんか?

  • 有名キャラクターや作品に「似すぎていない」ですか?(類似性)
  • 特定の作品に依拠していると受け取られませんか?(依拠性)

チェック4:他人の権利を侵害していませんか?

  • 実在の人物の顔に似ていませんか?(肖像権・パブリシティ権)
  • ロゴやブランド名が紛れ込んでいませんか?(商標権)
  • 障害のある人やマイノリティを貶めるような表現になっていませんか?

チェック5:自社として望ましい「人間の創作性」が入っていますか?

  • プロンプトの工夫・画像の選択・レイアウト・加工など、人間のクリエイティブがどれくらい反映されていますか?
  • 重要なブランド要素(ロゴ・キャラクターなど)は、人間のデザイナーによる最終調整を行っていますか?

チェック6:AIであることをどう開示していますか?

OpenAIの「Usage Policies」では、他人を誤解させるような使い方(なりすましや欺瞞的な利用)が禁止されています。さらに「Terms of Use」でも、AIが生成したOutputについて、人間が作ったかのように偽ってはいけないという趣旨の規定が置かれています。

そのため、特に公的機関や医療・福祉など信頼性が重視される場面では、必要に応じて「この画像はAIで生成しています」などと明示しておくと、安全性と透明性の両面で望ましいと言えます。

「障害のある人」とAI画像活用――インクルーシブに使うために

パパゲーノAI福祉研究所としては、AI画像の話題でも「障害のある人」の視点を忘れたくありません。

AI画像がもたらすポジティブな可能性

  • 文字情報が苦手な人向けに、分かりやすいイラストやピクトグラムを大量に用意できる
  • 説明資料やリーフレットを、わかりやすいビジュアル付きで短時間に作れる
  • 手足や表情の描写など、従来だとイラスト制作が難しかった人でも、プロンプトでアイデアを具現化しやすい

こうした点は、支援現場や就労支援の場で、障害のある方の情報アクセスや自己表現を広げる可能性があります。

一方で気をつけたいこと

  • 車いす利用者・白杖ユーザーなどをステレオタイプな「弱い存在」としてのみ描くと、差別的メッセージになり得る
  • 「障害のある人」を、宣伝目的で一方的に「かわいそう」「助けてあげるべき存在」として消費する表現は避けるべき

AIに任せきりにせず、

  • 当事者や支援者を巻き込んで、どう見えるかの確認を行う
  • 不適切な出力はきちんとボツにし、学びに変える

という姿勢が、AI時代のインクルーシブデザインには欠かせないといえます。

安心して使うために押さえるべき3つのポイント

最後に要点を整理します。

ChatGPT画像は、OpenAIの規約に従う限り商用利用可能

利用規約では、ユーザーがOutputの所有権を持つことが明記されています。

もっとも、これはOpenAIとの契約上の話であり、その画像が日本の著作権法上で著作物として保護されるかどうかは、別途「人間の創作性」があるかどうかで判断されます。

しかし「法律上の著作権保護」と「商用利用の可否」は別問題

日本では文化庁の「AIと著作権に関する考え方」が示されているものの、最終的な法的評価は今後の判例や制度改正により変わる可能性があります。

実務上は、次の4点を徹底することが重要

  • OpenAIと利用中サービスの規約・ポリシーを必ず確認する
  • 有名作品・人物・ブランドに「似すぎない」よう注意する
  • 肖像権・商標権・人権(特に障害のある人を含むマイノリティ)への配慮を最優先する
  • 重要なビジュアルほど、人間の創作・監修をきちんと挟む
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この記事を書いた人

株式会社パパゲーノ代表取締役CEO / 「生きててよかった」と誰もが実感できる社会を目指して、東京で「パパゲーノ Work & Recovery(就労継続支援B型)」の運営や、支援現場のDXアプリ「AI支援さん」を開発。精神障害のある方との事業開発がライフテーマ。

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