まだ議事録作成で疲弊していませんか?
サービス担当者会議、ケース会議、事例検討会、運営会議、虐待防止委員会…。
障害福祉・介護の現場では、毎月のようにさまざまな会議が開かれます。

会議のあとに残業して、ひとりで議事録を作っている



書き起こしに時間がかかりすぎて、本来の支援業務が後回しになる



議事録を作る担当者だけ、いつも負担が重い
こうした声は、どの事業所でもよく聞かれます。
そこで注目されているのが、会議記録・議事録作成のためのAIツールです。
会議音声を自動でテキスト化し、要点をまとめてくれることで、「議事録作成に追われる毎日」から、少しずつ職員を解放してくれます。
会議記録ツールとは? その基本と仕組み
会議記録ツールという便利な存在
会議記録ツールとは、会議や打ち合わせの音声をもとに、議事録やメモを自動で作成してくれるツールです。
従来は、
- 会議を録音 or ビデオ撮影
- 担当者が再生しながら手作業で文字起こし
- 文章を整えて議事録として配布
という流れが一般的でした。
会議記録ツールを使うと、
- 会議中の音声をリアルタイムで文字起こし
- 会議終了時には、すでにテキストデータができている
- あとは必要な修正・追記だけで議事録が完成
という状態まで持っていくことができます。
その結果、「人の手でゼロから書く作業」を大きく減らし、作業の効率化につながるのが最大のポイントです。
福祉・介護の現場だからこそ議事録が重い理由
一般企業と比べても、福祉・介護の会議は独特です。
- 利用者さんの生活や権利に関わる内容が多い
- 関係職種が多く、調整や合意形成に時間がかかる
- 行政・監査・加算取得などで「記録の証跡」が重要になる
そのため、「記録を残さないといけない会議」が多く、議事録の作成は避けて通れない業務になっています。
だからこそ、「人がやらなくてもよい部分」をツールに任せることで、支援者はより本質的な業務に時間を使えるようにしていくことが大切です。
2種類の議事録AIツール:どこまで任せるか?
一般的に、会議記録・議事録ツールは大きく2タイプに分けられます。
1. 音声認識技術による「テキスト化特化型」
音声認識とは、話された内容を文字に変換する技術です。
スマートフォンの音声入力機能をイメージすると分かりやすいと思います。
- マイクで拾った音声をデジタルデータに変換
- AIが音のパターンを分析し、言葉として認識
- 認識したテキストを、画面上に表示・保存
という流れで、会議の内容をテキスト化していきます。
スマホアプリやWebサービスを使えば、「会議で話している内容が、そのまま文字として画面に並んでいく」イメージです。
ただし、
- マイクの性能
- ネット環境
- 方言や早口、複数人の同時発言
などによって、テキスト化の精度は変わります。
あとから人がチェックし、誤字や誤認識を修正する前提で使うことが大切です。
2. AIを駆使した「要約・話者分離など高度型」
最近は、音声認識に加えて、さらに一歩進んだAI機能を備えたツールも増えています。
たとえば、
- 発言者ごとに話を区別してくれる(誰が何を話したか分かる)
- 「えー」「そのー」などの不要な部分を省いてくれる
- 重要なポイントだけを抜き出し、要約してくれる
- 決定事項やToDoを抽出し、タスク化してくれる
- Web会議(Zoom / Teams / Google Meetなど)と連携して自動録音・文字起こし
といった機能を持つサービスもあります。
福祉・介護の現場では、
- サービス担当者会議の結論を分かりやすく整理したい
- 多職種カンファレンスで誰が何を提案したか残したい
- 会議後に「誰が何を担当するか」を抜き出して共有したい
といったニーズが多いため、こうした高度なAI機能を持つツールと相性が良いケースも多くあります。
福祉・介護の現場での活用イメージ
よくある会議での使い方
- サービス担当者会議(相談支援、計画相談)
- 個別支援会議・ケースカンファレンス
- スタッフ会議、委員会(虐待防止、事故防止、個人情報保護など)
- 外部専門職との合同会議(医師、看護師、PT/OT/ST、学校関係者など)
こうした場面で、
- 会議の音声を録音 or Web会議に連携
- ツールが自動で文字起こし
- 担当者が要点を整理・追記して議事録を完成
という流れで使っていきます。
日常業務と組み合わせる
会議以外にも、
- シフト終わりの申し送りメモ
- ケース記録の下書き
- 研修・勉強会の内容の記録
などに使うことで、毎日の「書く仕事」の負担を少しずつ減らしていくことも可能です。
福祉・介護の現場での「議事録AIツールの選び方」4つのポイント
1. 目的を明確に設定する
ツール選びの前に、まず「自分たちは何を楽にしたいのか?」をはっきりさせることが大切です。
- とにかく文字起こしの時間を減らしたい
- 会議の要点や決定事項を自動で整理したい
- 多言語(外国人職員・利用者)にも対応したい
- オンライン会議の内容もまとめて管理したい
目的が違えば、選ぶべきツールも変わります。
例)
- 計画相談支援でサービス担当者会議が多い → 話者分離・要約機能があると便利
- 外国人スタッフや海外拠点とのやり取りがある → 多言語対応・翻訳機能が重要
- ZoomやTeamsでのオンライン会議が中心 → Web会議連携が必須
2. 機能と音声認識の精度をチェックする
次に確認したいのが、音声認識の精度と必要な機能が揃っているかどうかです。
- 医療・福祉特有の専門用語にどの程度対応できるか
- 録音環境が多少悪くても、ある程度は認識してくれるか
- 話者分離(誰の発言か)や要約機能はあるか
- Web会議との連携が必要かどうか
精度が低いと、誤字修正に時間がかかり、結局手間が増えてしまいます。
可能であれば無料トライアルで試し、実際の会議音声でどれくらい認識できるかを確認するのがおすすめです。
3. 操作性と使いやすさを検証する
いくら高性能でも、現場職員が使いこなせなければ意味がありません。
- ボタンが少なく、直感的に操作できるか
- 日本語の画面表示やマニュアルが分かりやすいか
- ICTが得意でない職員でも数回の練習で使えるか
福祉・介護の現場では年代もスキルもさまざまな職員が働いています。
「一部の人だけが使えるツール」ではなく、「みんなが使えるツール」かどうかを軸に選ぶことが重要です。
4. セキュリティと導入実績を確認する
議事録には、利用者さんの個人情報やセンシティブな内容が多く含まれます。
そのため、セキュリティと導入実績のチェックは必須です。
- データはどこに保存されるか(日本国内サーバーか、海外か)
- 通信は暗号化されているか
- 医療・自治体・福祉などの公共性の高い組織での導入実績があるか
- 契約や規約の中で、データの取り扱いがどう定められているか
プライバシー保護や守秘義務の観点から、「とにかく安いから」という理由だけで選ばないことをおすすめします。
代表的なAI議事録ツールの例
ここでは、一般的に知られている会議記録ツールをいくつか挙げながら、どんな場面に向いているかという観点で整理して紹介します。
AI議事録取れる君
株式会社ALMが提供する議事録作成サービスです。
日本語の音声認識精度に強みがあり、リアルタイムの文字起こしが得意です。
主な特徴
- 独自AIエンジンによる高精度なリアルタイム文字起こし
- オンライン会議(ZoomやTeams)のURLを登録しておくだけで自動参加・文字起こし
- 発言者の識別機能により、「誰が何を話したか」を整理しやすい
向いている場面
- オンラインでのケース会議や担当者会議が多い事業所
- とにかく「議事録のたたき台」を早く作りたい場面
ログミーツ powered by GPT-3/4
「ログミーツ」は、多くの自治体で導入されている実績豊富な議事録ツールです。
オフライン・オンライン両方の会議に対応しています。
主な特徴
- 録音 → 文字起こし → 要約まで一気通貫で対応
- Zoom / Teams / Google Meet など主要なWeb会議と連携
- 専用端末を使えば、大規模会議でも高品質なリアルタイム文字起こしが可能
向いている場面
- 行政・自治体との会議が多い法人
- 理事会・評議員会など、規模の大きい会議がある社会福祉法人
ailead(エーアイリード)
株式会社バベルが提供する「ailead」は、もともと営業活動の可視化や議事録自動作成を目的としたサービスです。
主な特徴
- 商談や会議のデータを自動収集し、可視化・解析
- クラウド上でデータ管理ができ、必要な情報をすぐに検索可能
- 会話内容の分析やライブラリ機能があり、人材育成にも活用しやすい
向いている場面
- 相談支援や人材紹介・研修事業など、外部との打ち合わせが多い法人
- 経営会議や営業活動の記録・分析もまとめて行いたい場合
OneMinutes
quintet株式会社が提供する「OneMinutes」は、多言語対応に強い文字起こし・翻訳ツールです。
主な特徴
- 最大110カ国語に対応し、リアルタイム翻訳と文字起こしが可能
- 翻訳・テキスト化された内容をリアルタイムで共有
- 会議中にAIが重要ポイントを抽出し、自動で議事録を作成
向いている場面
- 外国人スタッフ・利用者が多く、多言語コミュニケーションが必要な現場
- 海外拠点や海外の支援団体とのオンライン会議がある法人
Calqtalk(カルクトーク)
株式会社KandaQuantumが提供する「Calqtalk」は、
「より軽く、より早く、より快適に」をコンセプトにした議事録作成サービスです。
主な特徴
- 高精度な音声認識により、スピーディーな文字起こし
- テキストから重要な情報を抜き出して要約してくれる
- 過去の議事録をチャット形式で検索できる
向いている場面
- 日々多くの会議があり、「あとから検索して振り返る」ニーズが強い法人
- 情報共有のスピードを重視する事業所
AI議事録ツール導入のメリット
1. 議事録作成の効率化
- 再生・一時停止を繰り返しながらの手作業文字起こしから解放される
- 会議終了後すぐに、「たたき台」のテキストが手元にある状態になる
- 職員が本来やるべき支援業務・利用者対応に時間を回しやすくなる
結果として、残業時間の削減や、担当者の心理的負担の軽減につながります。
2. 情報共有の容易化
グループウェアやクラウドストレージと連携できるツールを使えば、
- 議事録をそのまま共有フォルダに保存
- 関係職員への一斉共有
- 過去の会議内容の検索
が簡単に行えます。
これにより、情報共有のスピードと抜け漏れの少なさが同時に向上します。
3. 多言語議事録の作成
多言語対応ツールを使えば、
- 外国人スタッフとの会議
- 海外の関係機関とのオンライン会議
でも、リアルタイムで翻訳付きの議事録作成が可能になります。
「特定の職員だけに負担が集中する」状況を和らげられます。
4. 会議内容とタスク管理の連携
AIによるキーワード抽出やタスク化機能を備えたツールなら、
- 会議で決まった対応事項を自動でリストアップ
- スケジュールやタスク管理ツールと連携
といった使い方も可能です。
会議の「言いっぱなし」を防ぎ、実行につながる管理がしやすくなります。
5. 会議内容の分析・振り返り
会議の内容を分析する機能を持つツールでは、
- よく出るキーワードの傾向
- 発言量の偏り(特定の人だけが話していないか)
- 感情傾向の分析
などを通じて、「会議そのものの質」を振り返る材料にもできます。
もちろん、数値だけで支援を判断するのは危険ですが、客観的なデータとして参考にする価値は十分にあります。
導入を成功させるための3ステップ
いきなり全事業所・全会議で使おうとすると、戸惑いも大きくなります。
- 月1回の定例会議
- サービス担当者会議の一部
- 研修や勉強会
など、一部の会議から試験導入してみるのがおすすめです。
- 録音する前に、必ず参加者の同意を得る
- どんな会議で使うか/使わないかを明確にする
- データの保存期間・削除ルールを決める
- 個人情報に関するポリシーと整合させる
といったルールづくりを、職員みんなで確認しておくと安心です。
- 最初はICTに詳しい職員が中心となって試し、マニュアルを作る
- ショート研修や説明会で、実際に画面を見ながら一緒に操作してみる
- 「分からなければいつでも聞ける」窓口役を1人決めておく
こうした工夫で、ツールが「一部の人だけのもの」にならないようにすることが大切です。
まとめ:議事録AIツールは「人にしかできない支援」の時間を生み出す
AIを活用した議事録作成ツールは議事録作成の手作業を減らし、情報共有をスムーズにし、多職種連携や多言語対応も支え、福祉・介護の現場の負担を軽くしてくれる心強い存在です。
一方で、個人情報の扱いや誤認識などの課題もあるため、
「小さく試す → ルールを作る → みんなで使えるようにする」
というステップで導入を進めることが重要です。
議事録AIツールは、職員の仕事を奪うものではなく、記録作業に追われていた時間を取り戻し、利用者さんと向き合うための時間を増やしてくれる技術です。
「うちの事業所では、どの会議からなら試せそうか?」
ぜひ一度、具体的な場面をイメージしながら検討してみてください。
議事録AIツールを現場で試してみたい方へ
支援記録や面談記録を「話すだけ」で作成したい方には、パパゲーノが開発した支援記録AIアプリ 「AI支援さん」 もおすすめです。
- 面談やケース会議の音声を録音するだけで、文字起こしと支援記録のたたき台を自動作成
- 事業所ごとの Word・Excel フォーマットに合わせた書類のAI生成にも対応
- 相談支援・就労系・通所系など、さまざまな福祉・介護事業所で導入が進んでいます




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